超魔神・グライシンガー!!  presented by K

(OPテーマ)ダッダンダダーンダダッダダーン♪
深い闇から〜や〜ってき〜た〜♪
僕らを救う正義の魔神オウオウオウオウオウ♪
超〜魔神 グ・ラ・イ・シ・ン・ガー!!♪

「あっ、怪獣フクドメーだ!!」
 小さな坊やの指先にはそれはもうひどく醜い怪獣が「サイン・デキナーイ!! ヨンオク・スラ・ナイトハー!!」と汚い雄たけびを上げておりました。
「メジャアアー!! メジャアアアー!!」
 フクドメーは容赦なく街を壊滅させてゆきます。
「博士!! フクドメーは何を要求しているんですか!? このままでは街が壊れてしまいます!!」
「わからぬ……フクドメーはもう自分すら見失っているようじゃ……」
と、その時、遠くからどでかい音がズガガガガーン。
「ソコマデデース、怪獣フクドメー!!」
「あっ、あれは!!」
人々は指を指し一斉に叫びました。
「カタコトの正義、魔神、グライシンガー!!」
「Yeah, グラちゃん嘘ツキマセーン!! フクドメー、さっさとアメリカにでも行キナサーイ!!」
それを見たフクドメーは目つきを非常に悪くして、
「メジャアアアー!! メジャアアアーー!!」
とあっさり逃げていきました。
「やった!! やっぱりグライシンガーは強いんだ!!」
人々が喝采を送っているとき、そっとグライシンガーの背後に黒い影が近寄ってきました。
「博士!! あれはなんです!?」
「あれは……伝説の巨人じゃ。おるとは聞いておったがまさかここにも来るとは……!」
 ここから先の展開を理解しているのは博士だけでした。博士は手をわなわなと震わせて歯を食いしばりました。
 グライシンガーに近寄ってきた巨人はなんとも醜い姿をしていました。巨人はグライシンガーに言いました。
「俺の街を守らないか? 人手は足りているんだがまだまだ満足できないんだ」
「No, グライシンガーはこの街ヲ愛シテマース。この街カラ出て行きマセーン」
 しかし次の瞬間、巨人は両手一杯に札束を取り出したではないですか。
「これでもだめか?」
 グライシンガーは一瞬躊躇しましたが、すぐにニッと笑って、
「アリガトウゴザイマース」
 と頭を下げたのです。
 その日から街の平和は永久に消えました。
どんな正義の味方でも、お金には結局勝てないというおはなし。